小説を読むことは、知識を技術にすること
今日は読書から父親のことを考える回です。
小説を読むって、生活を幸せに送るために本当にオススメですよ
今回紹介するのはこちら。
電車の中ではいつも本読むんだけど、
— ゆきもと🍋ストーリーデザイン巡り歩き (@MichikoYukimoto) March 17, 2019
今週は、
前に座ってたスーツ姿の男性から
視線をやたら感じた。
その理由に、今気づいた。#タイトル#お父さん世代が見たらドキッとする#遠藤周作の名作 pic.twitter.com/hXtmuH2v8o
父親ってのは不思議な生き物だと思う。
姉が結婚した夜。
いつもどおり晩酌しているだけなのに、父の背中には寂しさが漂っていました。
それは、あまりにも強い素直な父の気持ちなので直視できず、私は慌てて今から逃げ出しました。
でも思わず愛おしくすら感じるほどの純粋さでした。
父親は、娘が結婚すればそういうもの、と言ってしまえばそれで終わりです。
でも、私にはどうも父の気持ちが想像しきれなかったのです。
というのも普段、姉と父はそんなに仲良く話していたわけではありませんでした。
30を超えた姉は、片付け下手で人の話を聞けない父を「ほんとうにダメだよね!」と怒っていました。それに対して父は形ばかり「ひゃー」と反省して、実際の片付けは姉。
今日あった楽しいこと、悲しいことを会話することはない。
進学や結婚など、節目だけは会話するけど、それ以外は腐れ縁の友達くらいの距離感。
そんな父のどこに、あそこまでの寂しさが隠されていたんだろう。
父と私は、立場も性別も性格も違う。
だから、私が相手の気持ちを想像することはできっこないのだろうか。
人の気持を想像するって超ムリゲーだと思う
でもそうしたら、会社の人、友達、恋人の気持ちはわかりっこないことになる。
一言に会社といっても、
40代の独身女性上司、
40代の女の子2人持ちの男性、
20代の未婚の同期、
30代の既婚で子供なしの先輩、気が遠くなるほどいろんな立場の人がいて、
その人達の気持ちは想像できっこないことになる。
そうしたら、私はその方々にどんな言葉をつかって会話したらいいのだろう。
私は目の前の相手の心の中にある、寂しさや恐怖を知らないで相手を傷つける言葉をかけたら、
いつか嫌われるかも知れないな。
そう考えると、私は無性に独りになることが怖くなって、
父のあの哀愁の正体は、どうしたって知りたいものだったのです。
小説との出会い
ある日、暇潰しがてら古本屋をぶらぶらしていました。
古本だから、流行りの本が並んでいるというよりは、一度読まれて、でも売られて、
どこかどんよりした雰囲気。
ふと、目に止まった本がありました。
「父親」
毎月1冊は小説を読む私ですが、気づいたらレジに向かっていました。
ストーリーは戦後間もない日本で、主人公の会社勤めの男性には1人の娘と1人の息子がいます。娘は不倫してしまい、その二人に対して「相手のことを想像できる力が必要だ」と諭します。
読んでみて思ったこと、なんとまあ、父親の思考ってのは、短絡的で純粋な『男の子』だと。
同時に、年長者としての責任を踏まえているものだと。
短絡的で純粋な『男の子』
「いつまでも手もとにおいておきたいのだ。あたり前だ。手塩にかけて育てた娘を滅多な男にわたしてなるものか」
「独身でもいいわ、一生、パパのそばにいてあげるもの」
「迷惑だね、お前、結婚する気ないのか」
迷惑だねって言葉ではいうのかと。
父が、私に「お前はまだまだ子供だから結婚は早い」「お父さんほどの人間はいないがな、なに彼氏できたのか」などということがなんだかとても可笑しくなります。
謎が解けた。父が喜ぶメカニズム
父はいつも、自分の感情が動くのではなく、私の反応によって感情が動いていると感じていました。
母とは反応の仕方が違います。
そのわけは、私がどういう人間かということ以上に、私がどんな反応をしてくれるか、で男性は満足するからでした。
年長者としての責任
一方で、自分の行動が相手にどういった影響を与えるか想像する大切さ。
こここそが、私がまだまだ足りていない部分でどきっとしました。
小説を読むのって意味あるの???と考える人が多いと思います。
私もそのひとりだったので、分かります。エッセンスが箇条書きにされてないから、時間ばかりかかるばっかりで、知識を得られた気がしないんですよね。
翌日から、つい、なにか業務をお願いするときでも、
友達と話すときでも、相手のことを想像するようになりました。
その時の私には、小説の主人公のお父さんの優しさが、乗り移っていると感じます。
想像して、こういう意味かなって伝えて、相手がちょっと違くてって言ったら、
一生懸命理解しようとするようになりました。
でも、小説は知識を得るのではなく、知識を技術にするためにあると思うのです。
だって、例えば「逆上型上司にはこういった言い方をするのがベスト!」といったノウハウ、上手に使えます?そうした本を読んでしまう時点で、コミュニケーションに引け目に感じているわけですが、とっさに出てくるのは知識ではなく、自分が経験したことです。
小説は、主人公の目線に没入して、まるで自分が父親になったり、不倫したり、そういった気持を体感することができる。小説には、きっと救い手がいます。
その時は、どんな風に振る舞ってくれた?どんな言葉を使ってくれた?それがあなたの経験になります。
小説読もう
父親は今日も澄まし顔ですが、私にはいつもと違って見えて、少しうれしくなります。
スマホで答えのない検索をダラダラするより、本を読むと、人の気持に触れることができるかもしれません