しろこが寄り道する

社会人3年目女。HSPとして、仕事や趣味(観劇、読書、アニメ)への思いを綴ります。

HSPがみる世界体験するには、芥川龍之介小説が一番

HSPを知っているだろうか。Highly Sensitive Person、感情が豊かで周りの情緒も読み取ってしまう、生まれつきの性質のことだ。最近は書店の店頭にHSPに関する本が平積みになっていることも多いから、知っている方も多いかもしれない。私もHSPです。

今回は、HSPってどんな世界を見ているの?というギモンに、小説で答えられたらと思います。

芥川の文章を読むと、明らかに芥川もHSPだと感じる。

例えば、にこにこ笑う相手の顔と、実際は自分に対する軽蔑が籠ったその気持ちはオーラとなって、HSPの肌をなでる。HSPが人を好きになるのを難しくさせるのは、HSPは人の表裏の感情を全て明らかにしてしまうからだと、26年生きて、しみじみと感じる。

 

戯作三昧

彼は勿論彼の著作の愛読者に対しては、昔からそれ相当な行為を持っている。しかしその行為の為に、相手の人物に対する評価が、変化するなどと云う事は少しもない。これは聡明な彼にとって、当然すぎる程当然な事である。が、不思議な事には逆にその評価が、彼の行為に影響すると云う事も亦殆どない。だから彼は場合によって、軽蔑と行為とを、全く同1人に対して同時に感ずることが出来た。

 

『鼻』

人間の心には互に矛盾した二つの感情がある。もちろん、誰でも他人の不幸に同情しない者はない。ところがその人がその不幸を、どうにかして切り抜けることが出来ると、今度はこっちでなんとなく物足りないような心もちがする。少し誇張して云えば、もう一度その人を、同じ不幸に陥れてみたいような気にさえなる。

そうして何時の間にか、消極的ではあるが、或敵意をその人に抱くような事になる。

内供が、理由を知らないながらも、なんとなく不快に思ったのは、他の尾の僧俗の態度に、この傍観者の利己主義をそれとなく感づいたからに外ならない。

 

この偉大な文豪は、ここまで人間の感情のひだを言葉にできる。

それは、なぜ自分が「在る」ことが苦しいのか、何が起きているのか現象を言語化する作業だったのかもしれない。

他にもHSP作家は夏目漱石など数多おりますが、一物語の短さから芥川が手軽かと思います。書店で300円から売っております、会社帰りにふと、買ってみてHSPの世界をのぞいてみませんか。