釧路旅行中
宿に、地方雑誌が置いてあった。伏せんが覗いていたので指で雑誌のヘリをそっとなぞって開いたら、止まった宿の紹介記事があった。
「時々、自分が暮らしている小さな世界からするりと抜け出せたらと思うことがある。」
その書き出しに打ちのめされた。
文章のシンプルさ、洗練さ。今の自分にはとても書けなくて、将来は書ける保証もなくて、すごく悲しくて悔しい。
先日、ホテルにタダで泊めていただきモニター記事を書いたが、その書き出しはこんなに素敵だったろうか。もっと詩的に表現できたんじゃないだろうか。セールスプロモーション記事だから、詩的な表現は求められていないため、文体をpopにしたとはいえ。
本をたくさん読め、の意味が少しわかった。
自分が暮らしている小さな世界、
するりと抜け出す、
どれも小説の一節から抜け出たような、静かでキレイな言葉だ。浴びるように本を読んで、言葉が自分の身体に蓄積されて初めて、意味を持つんだろうなぁ。